J・ガイルズ・バンド

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J・ガイルズ・バンド
1973年のグループショット
基本情報
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 マサチューセッツ州ウースター
ジャンル
活動期間
レーベル
公式サイト jgeils.com
旧メンバー

J・ガイルズ・バンドThe J. Geils Band)はアメリカ合衆国出身のロックバンド

ブルース・ロックから台頭し、音楽性が変化した1980年代にはシングル「堕ちた天使」が全米1位を記録。アルバムも1位を獲得し世界的な知名度を得る。一度解散したが1999年以降から活動を再開。象徴であるJ・ガイルズが亡くなるまで存続した。

歴史[編集]

結成から活動停止まで[編集]

1982年のライブ

1967年、J・ガイルズを中心にボストンで結成。当初はJ・ガイルズ・ブルース・バンドを名乗り、かなり本格的なブルースを演奏していた。1970年にデビュー。ピーター・ウルフの野性的なボーカルとR&B色の濃いロックンロールサウンドは「アメリカのストーンズ」と評された。1975年には「マスタ・ガット・ロスト」が全米ヒットとなり、バンドの知名度が高まった。この時期ピーター・ウルフは女優フェイ・ダナウェイと結婚している。

大手レーベル「EMI」に移籍し、1980年代から音楽性が少しずつ変化し始める。1981年発表のアルバム『フリーズ・フレイム』からシングルカットされた「堕ちた天使」は印象的なイントロのフレーズとセクシーなミュージックビデオが話題となり、翌年2月から6週間に渡って全米1位を記録する大ヒット。同アルバムも全米1位を獲得する。しかし同曲は産業ロックに走ったとの批評もあり、既存の支持者などから賛否両論を招いた。

この成功を機に1983年にピーター・ウルフがソロ活動のため脱退。次作のアルバム『You're Gettin' Even While I'm Gettin' Odd』も不発に終わり、バンドは1985年に活動を停止した。

再結成〜J・ガイルズ死去[編集]

1999年、ドラムのステファン・ブラッドを除く5人のオリジナルメンバーは久々に結集し、アメリカ東海岸を中心に、13日間のツアーを行った。この時は、ツアー後に活動を停止したが、2005年から2006年にかけて、オリジナルメンバー全員で散発的にライブを開催。さらに2009年からは、ブラッドを除く5人で本格的にバンド活動を再開した。

2012年、バンドはアメリカツアーを実施する計画を発表したが、J・ガイルズはツアーに参加しない事を発表。残る4人は、新たにギタリストを迎えてツアーを実施した。その為ガイルズは、自分の名前が付いたバンド名を使用しない様、裁判所に訴える事態となった。結果的に、ガイルズはそのままバンドを脱退した形となったが、バンド名は『J・ガイルズ・バンド』のまま2015年まで活動。

2017年4月11日、J・ガイルズがマサチューセッツ州の自宅で71歳で死去[4]。これにより、バンドは事実上の幕を閉じた。

メンバー[編集]

オリジナル・ラインナップ[編集]

  • J・ガイルズ(ジェローム・ガイルズ) J. Geils - ギター (1968-2012) R.I.P. 2017
  • ピーター・ウルフ(本名:ピーター・ブランクフィールド) Peter Wolf - ボーカル (1968-1983, 1999-2015)
  • ダニー・クレイン Danny Klein - ベース (1968-2015)
  • マジック・ディック Richard "Magic Dick" Salwitz - ハーモニカ/サクソフォーン/トランペット (1968-2015)
  • ステファン・ジョー・ブラッド Stephen Jo Bladd - ドラムス (1968-1985, 2006)
  • セス・ジャストマン Seth Justman - キーボード (1968-2015)

旧メンバー[編集]

  • シム・ケイン Sim Cain - ドラムス (1999)
  • マーティ・リチャーズ Marty Richards - ドラムス (2005, 2009-2011)
  • デューク・リーバイン Duke Levine - リードギター (2012-2015)
  • ケビン・バリー Kevin Barry - リズムギター (2012-2015)
  • トム・アレイ Tom Arey - ドラムス (2012-2015)

アルバム[編集]

スタジオ・アルバム
  • デビュー! - The J. Geils Band (1970年)
  • モーニング・アフター - The Morning After (1971年)
  • ブラッドショット - Bloodshot (1973年)
  • 招かれた貴婦人 - Ladies Invited (1973年)
  • 悪夢とビニール・ジャングル - Nightmares...and Other Tales From the Vinyl Jungle (1974年)
  • ホットライン - Hotline (1975年)
  • モンキー・アイランド噴火 - Monkey Island (1977年)
  • サンクチュアリ(禁猟区) - Sanctuary (1978年)
  • ラヴ・スティンクス - Love Stinks (1980年)
  • フリーズ・フレイム - Freeze Frame (1981年)
  • ヒップ・アート - You're Gettin' Even While I'm Gettin' Odd (1984年)
ライブ・アルバム
  • フル・ハウス - "Live" Full House (1972年)
  • 狼から一撃 - Blow Your Face Out (1976年)
  • ショータイム - Showtime! (1982年)
コンピレーション
  • ベスト・オブ・J・ガイルズ・バンド - Best of the J. Geils Band (1979年)
  • フラッシュバック〜ベスト・オブ・J・ガイルズ・バンド - Flashback (1986年)
  • Flamethrower (1986年)
  • Anthology: Houseparty (1993年)
  • Looking for a Love (1997年)

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ Krampert, Peter (2016) [1998]. The Encyclopedia of the Harmonica. State of Missouri: Mel Bay Publications. p. 65. ISBN 978-1-619-11577-4 
  2. ^ Erlewine, Stephen Thomas. “J. Geils Band Biography, Songs, & Albums”. AllMusic. RhythmOne. 2023年4月8日閲覧。
  3. ^ Oberman, Michael (2020). Fast Forward, Play, and Rewind. Backbeat. p. 282. ISBN 978-1-493-05093-2 
  4. ^ “「堕ちた天使」のJ.ガイルズ・バンド、ガイルズ氏が死去”. ロイター (ロイター). (2017年4月12日). http://jp.reuters.com/article/j-geils-die-idJPKBN17E0B4 2017年4月12日閲覧。 J.ガイルズ、死去 - BARKS

外部リンク[編集]